前に、池上彰さんの教養に関する本を紹介しました。
関連記事:池上彰さんの著書『大人の教養』で自分の土台となる深い教養を学ぼう!
前回の池上さんの本では自分という人間がどこから生まれ、どこへ向かうのかということを大きなテーマとして、7つの領域を学ぶことができる本です。
7つの領域は一つひとつが学びがある良い内容です。今回はその中でも「歴史」にスポットを当ててみることにしましょう。
教科書の歴史は過去の歴史をすべて記せているわけではないという当たり前の事実
当たり前のことかもしれませんが、教科書の歴史は過去の歴史をすべて記せているわけではありません。本やドラマでは印象に残りやすい部分が中心になりますので、私たちがよく見る部分は限られるでしょう。
そういう面では「武士の家計簿」のような変わった視点の作品は見ていて興味深いですね。
歴史とは勝者が描いたものであると同時に、その時々の政治の事情や都合によって、見直され書き換えられるものなのです。
『大人の教養』p196より
ということは、実際の史料やデータがのちに現れると歴史が変わるということですね。
今回は、歴史に関しての視点が面白いこちらの本に登場していただきましょう。
日本史の資料から読み取る歴史の話をまとめたものです。「史料」に強い焦点が当たっているのが特徴です。
タイトル、著者、出版社
タイトル:日本史の森をゆく 史料が語るとっておきの42話
著者:東京大学史料編纂所
出版社:中公新書 著者について少し説明を加えておきます。
この東京大学史料編纂所というのは、日本の史料を読み取り、研究し、再び編集して成果を資料集として出版しているそうです。 日本史研究のプロといっても過言ではないと思いますよ。
目次
はじめに
Ⅰ 文書を読む、ということ
Ⅱ 海を越えて
Ⅲ 雲の上にも諸事ありき
Ⅳ 武芸ばかりが道にはあらず
Ⅴ 村の声、町の声を聞く
大まかな内容
東京大学史料編纂所に所属する「史料読みのプロ」42名がそれぞれの専門分野から選んだ逸話が書いてあります。
目次の5章はそれぞれ史料、対外関係、宮廷、幕府・武家、民衆とわかれています。各章はほぼ時代順に並んでいます。
基本的に42個の話はそれぞれ独立しているので、どこから読んでもいいようになっています。史料からどのように歴史の事実を読み取っているのかがわかる内容になっています。
史料の読み取りは研究なのか?
この本では、歴史の史料を読み取ることを「研究」と書いています。中には、資料の読み取りを「研究」ということに違和感を覚える人がいるかもしれません。
研究というと、機械や数式などの技術系のイメージが強いかもしれないですね。
つまり「研究=理系」というイメージを持っている人がいるかもしれないので、少し書かせてもらうと、史料の読み取りも研究です。 この本にある言葉を使うと、
関係史料を集めてくること自体がまず研究の第一歩ですし、難解な文字を解読すること、そしてその史料の年代や歴史的文脈を考察し、位置づけることはまさに研究そのものです pⅱより
ということです。実際、歴史では史料を読み取りつつ、その史料に書いている事実を分析していくわけです。
これこそが歴史を学ぶ醍醐味なのでしょう。
出来事と出来事の間に、どういう論理や因果関係が見て取れるのか。残されている資料を読み解くと、どういう出来事があったと推測されるのか。そういったところに、歴史を学ぶ面白さはあるのです。
『大人の教養』p190より
感想
正直、内容はなかなかに難しかったです。日本史といっても私たちがよく知る戦国時代や幕末、近代史など時代に限らないからです。幅広い時代から話題を選んでいます。
自分は日本史は全ての時代をまんべんなく勉強していたわけではないので、どうしてもわからない話題が多かったです。まぁ、それは今後自分が歴史を勉強すればいいのでこの本云々ではないですね。
この本で面白いなと思ったのは、この本で取り上げているはあくまで史料から読み取れる歴史の逸話を取り上げているということです。
これはどういうことか?
つまり、取り上げている題材が偉人に限らないということなんです。
歴史で、偉人が出るのはむしろ稀?
この本を読んでわかることは、歴史の史料を読み取り、歴史の事実を明らかにしていく研究の中で、偉人が出てくることは思ったより多くないということです。 この本の最後には次のように書いています。
日々格闘している史料の中で、教科書に登場するような著名な人物や事件に遭遇することはむしろ稀である。そこには無数の人々の、無数の日常の風景が繰り広げられている。しかし、その風景の中でこそ、過去千数百年間、この列島の上で生きてきた人々の等身大の姿に出会うことができる。
P220より
実際に目次を見てみると偉人や有名な事件についての話以上に、一般市民ではやった流行や、言葉の由来、昔の習慣などの話が非常に多いことがわかります。
ちなみに、自分はこの本の第Ⅰ章の「文書を読む、ということ」の内容が興味深くて好きでした。 この本を読んでいると、すごく当たり前で、大切なことがわかってきます。それは、次のことです。
歴史は、有名人だけで作られるわけではない!!
そうです、歴史の文章に出てくるような有名人よりも資料に名前が出てこない「一般の人」のほうが人数的には多いのです。歴史の本や教科書を読んでいるとこのことを忘れがちになります。
ということは、一般の人たちが作った文化というものも歴史を作り上げているのです。言われてみれば
名もなき人たちの声、足跡を探していくことの大切さをこの本で改めて教わった気がしますね。
生活の中でえり好みせずにまずは情報を入れてみよう!
歴史に史料に限らず、私たちはついつい有名な人の言葉に耳を傾け、そうでない人の言葉には耳を貸さないという癖が多かれ少なかれあるように思えます。
しかし、それでは私たちの視野が狭くなってしまうことをこの本は教えてくれています。 この本の最初に、お役所でいらなくなって気味となった書類には歴史を知るための要素がふんだんに含まれているということが書かれています。
セレクションを経た子文書は、その理由となった事柄については多くを伝えるが、それ以外を語ることは少ない。一方、選択を受けていない廃棄書類は、有象無象の情報を抱え込んでいる。まとめると極めて雄弁である。
きき方を工夫すれば、知られていない事柄をいくらも教えてくれる。現代でもお役所の生の書類はあぶない。 理由は同じであろう。ゴミだからこそ「宝の山」なのである。
以上本書P5より。
いろいろ情報知りたい時には選定された文書よりも選定されていないもののほうが役に立つことがあるんですね。
情報をえり好みしないで取り入れることに関する記事は以前に書きました。そのときも情報はえり好みせずになるべく素直に取り入れることを勧めました。
関連記事:成功するためには欠かせない!情報収集で大切にしたい5つのポイント
私たちも、有名人の言葉に限らず多くの人の話、文書、情報を入れていきたいものです。一見、何の役に立つのかわからない情報も含めてたくさんの情報を頭に入れて考えることで考える材料を増やしていく必要がありそうですよ。
多くの情報から、考えることの楽しさが見えてくるかもしれませんよ。
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